キラッとプリ☆チャン51話視聴を終えて
プリティシリーズがプリパラ1期以後、期を重ねるごとに出来が悪くなっている事はただの気のせいではないだろう。
特にプリパラ3期→アイドルタイムプリパラ→キラッとプリ☆チャンの3年間の推移、いや、減退は個人の主観の問題で解決するに済まない程に顕著である。
アイドルタイムプリパラに入ってからの大きな不満点として、極端にライブ、コーデ、メイキングドラマの使いまわしが頻発するようになったことが上げられる。
その典型例として1人、幸多みちることミーチルの問題を上げたい。
彼女は15話で初ライブを披露後、主人公チームマイ☆ドリーム一員として以後は話の中心人物として活躍するポジションにあった。
しかしながらシリーズを通し48話までで彼女のライブ楽曲は専用曲とマイドリチーム曲でたった2曲。メイキングドラマもそれぞれで1つずつしかないという有様である。
専用曲のメイキングドラマ「絶対的誘惑アーチマジックを不出来という風に思わないが、作中で計7回も同コーデで同じアピールを見せられるのはなんとも言えない気分になってくる。(ちなみに虹色にのもシオンとの楽曲があるからまだマシなもののそれを除けばまったく同じ様な状態。華園しゅうかもライバルポジションの人物とはいえ1億カラットの目覚めを6回も繰返すのはどうにかならなかったのか・・・)
ミーチルには折角Gaarmageddonとの関係性があるのに、ライブ演出では最終回の僅かな演出を除きまったく生かされず終わったことはなんとも寂しい。
プリチャンに入ってからも「同じコーデとやってみたで何度もライブをする」という事情は変わらず、むしろ悪化の一途を辿った。
プリチャンの登場人物はCG有りのメンバーで8人だが、中盤以降はユニットシャッフルなどの要素もなくMiracle KirattsとMeltic StArの2チームの交代で延々とライブを繰返す展開なので、ライブのバリエーションの無さが余計に悪目立ちするハメとなった。
DMF2クール目Prizmmy☆とPURETTYの交代制ライブがひたすら続く時期のトラウマを思い出すような構図を、中盤以降は視聴者に存分と見せつけてくる。
極めつけはiL'angeのライブ終了後からのお粗末極まりない最終局面。
シーズン中のキラッツとメルティックの最終対決の山場であるはずの第48話「決着つけてみましたわ!」はなんと新規曲、新規コーデ、新規やってみた一切なし。
両チームがこれまで飽きるほど見せた既存楽曲2曲を交代でライブするだけ。
そして後ろの順番でライブをした主人公側のキラッツが勝利をするという、本当に何の捻りも盛り上がりもない展開で感動すら覚えた。
50話も酷い展開ながら辛うじて初の6人での新規ライブ「キラッっとスター」が登場したものの、期待のかかる最終51話はなんと再び既存ライブを1曲ずつキラッツとメルティックが披露するだけで終了。開いた口もふさがらない露骨な手抜きっぷりである。
仮にプリチャン最終局面自体の話の出来がよかったとしても、ここまでやる気0のライブを糊塗するには相当骨が折れるであろう。
ところで、先ほどのミーチルの話の際に48話までと限定したのは、マイドリーム&は最後に50話・51話で立て続けに新規ライブを披露しているからだ。
50話はキラッっとスターと同じようにemorialによる集合ライブだが、51話はWITHの女装ライブに対抗してマイドリの男装コーデによるGiraギャラティック・タイトロープのサプライズライブを見せてくれた。ライブ関連では裏切られる事が多いアイパラではあったが、プリパラらしい楽しさとクオリティを最後に示してくれた秀逸な最終回だと個人的には思う。
無論、プリチャンの最終局面の問題点はライブだけではなく、見てる側を楽しませる気が微塵もない露骨な話の手抜きが散見されるのが理由である。
49話で過去エピソードの振り返りを行っておきながら、51話でも同じような構成で振り返り回をやらかすという露骨な構成ミスを犯している。
49話がキラッツ、51話がメルティックのエピソードで分ける理由こそ一見あるように見えるが、49話が50話のキラッツ勝利の要因と微塵も繋がっていない、ラスト3話でただえもを下げるだけの話なので分けてやる意味が存在しない。
そもそも2話に分けておきながら過去にそれぞれのチームが関わった人物をモブとして意味もない会話をするか背景としてゲスト登場するだけの、子供相手の商売だからと舐めきったような尺稼ぎで話を作るのは大概にすべきだ。
優勝決定戦のチームがチケットをなくしたから参加出来ないだとか、どうせ新キャラ登場でメルティックまでライブ製作の手を回せないのが10割海外左遷の理由の癖にその為のお茶濁しの退場演出すらすらまともに作れないのは呆れを通り越して怒りを感じる。
そもそも過去の振り返りと総括を2話もかけてやっているのにここまで内容が薄く出来が悪いのは、申し訳ないがプリチャン1期が失敗作だったと言わざる得ないことの証左である。
プリチャンはネット配信を新たな物語のテーマに据えてプリティシリーズの新作として誕生したが、それを全く生かせていないシナリオ構成が終始続いた。その顕著な部分として、おおよそ10話ごとに挟まれる大会エピソードが悉く失敗していることが上げられる。
参加者が会場に一同に会して対決をするという構図は、最終的に優勝者をライブで決めざるを得ない販促的な事情がある以上しかたないのかもしれないが、ネット配信を新規テーマとし、「やってみなくちゃ分からない」と言う標語を主人公に掲げさせた作品としては非常にミスマッチだったと感じる。何よりも予選の内容はどの回も悉くお粗末なものであった。勝利基準が主催者のエゴ100パーセントのランウェイ対決やらクイズ対決など、その場で発表されたテーマを参加者に課して当座で演目をさせるというネット配信をモチーフにしたアニメとは信じられないものばかりである。
キラッツとメルティックの対決の構図も12話でイマイチよく分からない理由で実力差のある筈のメルティックスターが敗北した後、りんかとめるの加入やみらいとさらのイベントはあるものの、両チームの交流や因縁も非常に薄いまま何故か実力互角扱いとなった2チームが最終対決でライバルポジションのチームが負けて海外左遷されるという帰着は余りにも味気ない。
特にえもとあんなの関係の掘り下げについて、序盤以降は1度きりの合同練習で終わってしまい掘り下げられなかった事が最終展開の盛り上がらなさの最大の一端になっているのではないかと思われる。
お調子者であるがメンタルが弱いえもと、高飛車で奢りはあるが努力家のあんなの対立の構図は、この作品の人間関係においては一番分かりやく魅力的な部分であった。
あんなに関してはユニット内部のエピソードとしてめるの加入があるだけ心情の変化や成長を伺わせてくれる描写があるものの、えもについてはそれすら非常に危うい。
あんなとの対決や和解を通じえものキャラとしての魅力を描写する筋書きが予定されていれば、最後までただ調子に乗ったりチームを不安にさせるネガティブな発言をするだけのキャラに帰着はしなかった筈である。
旧作で言えばそういったエピソードの秀逸さについて言えばレインボーライブが筆頭に上げられるが、今作はそもそも比較できるほどの部分すらないのでスタッフはまず2期を作り出す前に勉強として一度RLを鑑賞して欲しい次第である。
プリ☆チャン2期の挽回にかけて期待したい要素は多くあるのだが、おそらくそれが適えられることはないだろうと個人的には達観している。
単純な問題として、タカラトミーや製作スタッフのプリティシリーズにかける熱量の低下を感じているからである。プリチャンという作品単体の問題と言うよりも、意図的に作品のクオリティを下げた必然の帰着として今作の失敗が発生したように思えてならない。
願わくば自分の予想が外れますよう祈りつつ、プリチャン2期に期待しつつ記事を終えさせていただく。
prinnybomb.hatenablog.comプリパラ作中でのライブ回数の記述等に辺り参考にさせていただきました。こういったデータをまとめてくださる有志の方に心の底から感謝。